「牙と発情期」についての記事で、噛む前に唸る犬や猫と比べて、アカハナグマの噛む予兆は分かりにくいことを書いています。
今回の記事では、アカハナグマが噛む理由と、噛む直前の行動、噛まれないための対策についてお話ししようと思います。
ただ、あくまで我が家のルシカの場合ですので、その子その子で違う部分もあるかもしれません。
一つの例として、参考にしていただければと思います。
アカハナグマが噛む理由① 執着心
「物を取られる」と思うと噛む
アカハナグマは、執着心がとても強い動物です。
気に入った食べ物やおもちゃを「取られる」と思ったとき、血が出るほどの本気噛みをする場合があります。
野生時代が長い生き物にとって、食べ物を入手できるかどうかは死活問題なので、先祖代々、得た物を死守する本能が染み付いているのだと思います。
「気に入った物を取られたくない」というアカハナグマの気持ちは、無理やり何とかできるものではないので、人間側が理解して、尊重してあげる必要があると思います。
理由①「執着心」で噛む前の予兆
・背を向けた状態で、気に入ったものを抱える。
こちらを見ていないようで、視界の端に全神経を集中して様子を伺っています。
「ピーッ」と鳴くこともありますが、鳴かない場合もあります。
この時手を出すと噛まれます。
こういった様子です↓
フロスを取られた。
📝物を取られた時の対処法:おやつとトレード
無理に取り返すと咬まれます。
※双方必死のため画面が乱れております🙇♀️#アカハナグマ#ハナグマ pic.twitter.com/eCgobhQf4l
— アカハナグマのルシカ (@akahanaluccica) January 17, 2021
※こういった予兆が無い場合もあるので、基本的に「気に入っているな」と感じた場合には絶対手を出さない方が良いです。
↓こちらはムヒが気に入った時のアカハナグマです。
理由①「執着心」への対策1
・好物とトレードをする。
アカハナグマが持っている物が、食べてはいけない物だったり、取られて困る物だった場合には、オヤツなど、アカハナグマの好物と交換します。
今持っている物よりも欲しい物であれば、すぐに離してくれます。
※「やってはいけないこと」をやった後に報酬を与えてしまうと、オペラント条件付けになって行動を強化してしまうのではないか、という考え方もあると思うのですが、その心配は無いように感じます。
「オヤツがもらえるから物を取ってやろう」というところまでは頭が働いてないようだし、オヤツと交換することによって物を取る頻度が上がった様子も無いためです。
「これ欲しい!!私の物!ぜったい渡さない! …あでもそっちの方がほしい!ちょうだい」みたいな、単純な思考回路で動いているように感じます。
それだけ「気に入った物を渡したくない」という気持ちが強いのだと思います。
物を取られてトレードしている一連の様子です↓
理由①「執着心」への対策2
・アカハナグマを放す部屋に、取られて困る物を置かない。
これも大切なことだと思います。
「取っていい物、ダメな物」「食べていい物、ダメな物」の区別を、しつけによって教える、というのは難しいです。
予め部屋から無くすことで、
・アカハナグマ自身の誤食、誤飲による事故
・取り返そうとした飼い主が噛まれる事故
を、ある程度防ぐことができます。
アカハナグマが噛む理由② 嫌だから
嫌なことをされたから
爪切りやハーネストレーニングなど、嫌なことをされると噛む場合があります。
ただ、この時は理由①「執着心」が原因の時よりは、やや穏やかな噛み方に感じます。
たぶんアカハナグマは、嫌な事をされるより、気に入った物を取られる方が我慢できないのだと思います。
理由②「嫌だから」で噛む前の予兆
この場合は、すでに飼い主がアカハナグマを押さえつけていたり、手や尻尾を掴んでいることが多いと思います。
嫌がって暴れたり鳴いても飼い主が離さないと、噛むことがあります。
暴れる、鳴く、といったことが予兆であると思います。
理由②「嫌だから」への対策
・嫌がることを無理やり行わない。
同じことを犬やフェレットにしても、ある程度我慢してくれたりするのですが、アカハナグマは違います。
(猫も、「嫌なことは嫌派」の子も多いかなと思うのですが、牙の大きさや力の強さなど、アカハナグマの方が攻撃力が高いので、大事故に繋がりかねません。)
無理矢理やろうとするほど全力で抵抗してくるので、アカハナグマ自身も飼い主も、怪我をしてしまう可能性が高くなります。
アカハナグマに対しては、「北風ではなく太陽作戦」が望ましいと思います。
細かく切ったオヤツなどを用意し、「ひとつできたらひとつあげる」というように、「ちょっと我慢したら良いことがある」と、少しずつ教えていくことが大切だと思います。
アカハナグマが噛む理由③ 気が立っていた
イライラしていたから
狭いケージに長く入れていた時など、いつもよりイライラしていることがあります。
我が家の場合、飼い主の弟がたまにルシカをからかったりするのですが、ルシカはからかわれた後も気が立っていたりします💧
弟がパーカー後ろ前に着て脅かすから、バケモノが来たと思って全力で威嚇するアカハナグマ。 pic.twitter.com/ajblIHLqmU
— アカハナグマのルシカ (@akahanaluccica) August 14, 2021
こういった感じです👆
※ルシカは驚いていますが、和解済みです。
正体が発覚したので和解した。 pic.twitter.com/F6Wz8P8DrH
— アカハナグマのルシカ (@akahanaluccica) August 14, 2021
たまにのことであれば、経験のうちだと思いますが、これが頻繁になると気が立っている様子が見て取れるので、からかったりせず(させず)大切に扱う必要があると感じます。
しつけなど、普段のトレーニングに関しても、たまにやるくらいにして、あまり神経質にさせないほうが良いように感じています。
また、我が家のルシカはまだ発情期を迎えていないので、発情期の様子は分かりませんが、発情期のアカハナグマも、苛立ちが強くあるのではないかと思います。
理由③「イライラ」で噛む前の予兆
これは一番分かりにくいのかもしれません。
ケージを開けた途端、触った途端に噛まれる、ということもあると思います。
ただ、「いつもよりせわしなく動いている」など、落ち着きの無い様子は読み取れると思います。
理由③「イライラ」への対策1
・イライラの原因を取り除く。
からかう等、イライラさせることをしない。(家族がやる場合、やめさせる。)
去勢手術、避妊手術をする。
去勢・避妊については我が家の実体験が無いため、ウェブサイトを参考にしています。
以下の「the spruce pets」からの引用は「牙と発情期」の記事にも載せていますが、あらためて載せておきます。
”Male coatis can become very aggressive once they are sexually mature. Neutering is recommended before 6 months of age to curb some of the aggression. Females can become aggressive when they are in heat; for a more even-tempered coati, spay it.”
オスのハナグマは性的に成熟すると非常に攻撃的になる場合があります。攻撃性をいくらか抑制するために、生後6か月になる前に去勢を行うことを勧めます。メスはヒート(発情)の時期に攻撃的になる可能性があります。より穏やかな気性のハナグマにするためには、避妊手術をしてください。
引用元はこちらです↓
![](https://akahanaguma.com/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/497433afbe5d19d07c0ddaad33acb636.jpg)
理由③「イライラ」への対策2
・ストレスを発散させる。
部屋に放す時間を長く取るなど、運動をさせると落ち着いてくると思います。
可能であれば、広いケージに移すこともお勧めしたいです。
我が家のルシカは、ケージの高さが高い方が穏やかになります。
ルシカのケージは、1段~3段で高さが調節できるタイプですが、2段で使っている時より、3段で使っている時の方がストレスが少ないようです。
(我が家のケージについての詳しいことは、こちらの記事↓に書いています。)
![](https://akahanaguma.com/wp-content/uploads/2021/08/S__37502984-160x90.jpg)
人間への信頼を育てる
犬や猫には、先天的に、人間に対する信頼がある程度備わっているように感じます。
アカハナグマには、それが無いため、後天的に信頼を育てていく必要があります。
そのためには、飼い主が理不尽なことをしないのはもちろんのこと、その都度アカハナグマの気持ちを考えてあげることも大切だと感じます。
また、アカハナグマと飼い主との関係は、犬とその飼い主のような上下関係にはなりません。
リーダーの命令を聞く、という習性も、「飼い主の喜ぶ顔を見ると嬉しい」という感覚も、アカハナグマには無いようです。
あくまでアカハナグマと飼い主は対等であって、アカハナグマは「嫌な事は嫌タイプ」です。
「あなたのためよ」と言葉で言い聞かせて分かってもらうことも、当然できません。
そのため、アカハナグマにとって嫌な事をしなければならない際には報酬制にするなど、お互いにとってwinwinにしていくのが良いと思います。
とはいえ、基本的に扱いは難しい
「アカハナグマとの信頼関係」と、理想を書くのは簡単なのですが、実際のところけっこう大変です💧
飼い主自身、ルシカをお迎えする前には、「しっかり信頼関係を築いていこう」「ルシカが嫌がることは極力さけよう」「大事に扱おう」と意気込んでいました。
でも実際にお迎えしてみると本当にやんちゃで、エネルギッシュで、とっさに強い力で掴んだり押さえなければいけないことがあったり、行動の予測ができなかったり、理想通りにいかないことも多々ありました。
きっと人間の子育ても、こんな感じなんだろうなと思ったりします。
人の子を育てることはもちろん、金銭面や責任など、比にならない大変さがあると思いますが、アカハナグマはアカハナグマで、パワフルで攻撃力も高くて、大変です。
これから牙が大きくなって、発情期を迎えたりすると、ルシカの飼い主自身にも、また本当の大変さが分かるのだろうと思います。
最終手段
もし、飼っているアカハナグマの気性が荒く、どうしても信頼関係を築くことが難しく、人を傷つけてしまう可能性がある場合には、「爪や牙を取る」という方法があります。
こちらは最終手段だと思いますが、こちらについても記事を貼っておきます。
![](https://akahanaguma.com/wp-content/uploads/2021/09/img_2206-160x90.jpg)
※決してこの方法をお勧めする訳ではありません。
「こういう方法があるから飼っても大丈夫」という考え方も、すべきではないと思います。
ただ、そういった方法を取らざるを得ないケース、そういった手段を講じたほうが良いケースもあると思うので、テーマとして扱っています。
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